「へぇ~、似てるね。」これだけでは終わらないのが、青木隆治のモノマネである。感動のあまり涙したり、沈み込んでいた心が明るくなったりと、“人の心に響く”歌声を彼は持っているのである。
2月9日の『ひるおび!』(TBS系)に生出演し、モノマネを披露した青木隆治。
番組コメンテーターのデーモン閣下が、「(男女の関係なく)原曲とキーが同じこと。」「声の出し方が全く違う歌い方を、続けて歌えること。」が驚いたという。確かに演歌でもJ-POPでもひと休みせずに、彼は続けて歌う。プロから見ると、これは大変難しいことらしい。青木によると、さほど意識しないで普通に歌えるのだと語る。
1月29日は青木隆治の誕生日。この日熱海のホテルで1泊2日のツアーが行われ、約140名のファンが参加した。ファンの年齢は20~70代と幅広い。一昔前のものまね番組では森進一やアグネス・チャンなど昭和の歌手のマネばかりで、若い世代には解らない歌が多かった。しかし青木隆治はGReeeeNやhyde(L’Arc~en~Ciel)から、布施明や渡辺真知子そして有名な美空ひばりまでレパートリーが幅広い。トークも面白くて楽しいと評判で、幅広い年代から多くの支持があるのもうなずける。
彼は幼い頃から抜群に歌が上手く、たくさんのコンテストに出ては優勝をしていた。自分は歌手になれるものだと思い込み、10代の後半からは各レコード会社のオーディションを受けるも次々と落ちてしまう。審査員から決まって言われるのは、「歌は上手いけど、心に響かない。説得力が無い。」という批評ばかり。しかし自分の歌に自信があった青木は、「そのうち受かるだろう。」と全く気にしていなかった。
時が過ぎて20代半ばになり、「そろそろテレビに出て、名前を売っておかないとマズイ。」と焦りだした青木。彼は歌手を諦めた父親(ものまねタレント・ツートン青木)を軽蔑し、“モノマネ”自体を馬鹿にしていた。しかし背に腹はかえられない―と、以前から誘われていたものまね番組に出演するようになる。
最初の番組で現在も青木が“師”と仰ぐ、ものまね界の大御所コロッケと出会う。モノマネを馬鹿にし、歌が上手いと自信過剰だったこの頃の青木は、言葉遣いも悪く服装もだらしなかった。
「青木隆治のモノマネの才能が素晴らしいことは、すぐにわかった。何とか表舞台に立たせてあげたかった。」と、当時を振り返るコロッケ。「いくら歌が上手くても、挨拶やお礼も言えないような人間は相手にされないよ。」と、コロッケは穏やかに彼を諭した。初めて会った自分に優しく声をかけてくれた大先輩に感激した青木は、モノマネで人を楽しませるコロッケを慕い、プロ意識の高さを尊敬するようになる。
今の青木隆治の夢は、「自分のオリジナルの曲で認めてもらい、武道館のステージに立つこと。」とキッパリと話す。それは昔のように“モノマネ”を馬鹿にしているのではなく、“モノマネ”で歌の素晴らしさや可能性を実感したからこそ、今度は『青木隆治からのメッセージ』として歌いたいと望んでいるのだろう。父も果たせなかった、歌手の夢。それを叶えるために、彼にとって今年は勝負の年となる。
(TechinsightJapan編集部 みやび)