故マイケル・ジャクソンの元専属医で、昨年2月、LA検察当局より過失致死容疑で訴追されたコンラッド・マーレイ容疑者が、“マイケルの死は自殺に等しい” と弁護を展開している件で、ロンドン・カムバック公演を企画したAEG Live社の責任も問われる可能性が出てきた。
2009年6月25日、50歳にして急逝したマイケル。その理由として、普段から処方薬を過剰摂取していたことが挙げられ、マーレイが注射した麻酔薬プロポフォールが、マイケルの心臓をついに止めてしまったことは周知の事実である。
マイケルの父ジョー・ジャクソン氏は『ラリー・キング・ライブ』に出演した際、“これは複数の人間により企てられた殺人。マーレイの存在は歯車の一つに過ぎない” と話しているが、一方でマーレイは、“マイケルが自ら望むように薬物依存の深みに陥っていった” ことを主張している。
マイケルがマーレイに訴え続けたのは、ストレスや不安、不眠、疲労感といったものからの回復。医師として適切ではない行為があったことをマーレイは認めているものの、特別高額な報酬で雇われている立場上、マイケルの要望はすべて聞き入れなければならなかったとしている。
ここに並行して一石を投じたのが、マイケルの母キャサリン・ジャクソンさんとマイケルの遺児たち。“This Is It” ロンドン公演について、当初は10回ということで契約したものが、いつの間にか勝手に40回追加されてしまい、マイケルはかなり動揺し、不安とストレスを溜め、苦痛を訴える彼の様子を家族は見ているからだ。
マイケルが亡くなっても、なおリハーサル映像を基に巨額の収入を得ているAEG Live社に対し、彼らの怒りは収まることを知らず、ついにキャサリンさんと遺児は昨年9月、同社に対して損害賠償を求める訴えを起こしている。
マイケルの食の細さや度々の脱水症状、薬物を手放せない様子は、恐らく周囲に「50公演も持つのか」という不安を与えていたはずだが、マーレイ元専属医の過失致死罪を問う裁判は今後、なぜそこまで薬物依存が深刻になっていったのか、また彼がいっそ死を望むこともあったのか、マイケルの当時の精神状態にも焦点が当てられるはずだ。
奇しくもマーレイは、AEG Live社がマイケルにあてがった専属医である。マイケルの死を “鳴かぬなら殺してしまえ、ホトトギス” とたくまれたものであったとは、決して考えたくない。だが “ストレスに負けての自殺に等しい” と片付けるのではあまりにも哀しすぎる。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)