ファッション界の大物実業家フランソワ・ピノー氏と結婚し、子育ての傍ら、上流社会の人々と常に接している女優サルマ・ハエック(44)。この度スペインの『V』誌に、自身の辛い過去を語った中…。
父親は石油会社の重役、母親はオペラ歌手というメキシコの裕福な家庭で生まれ育ったハエックは、大学を卒業するとすぐに女優デビュー。その後2年でLAに渡ったが、英語に四苦八苦では仕事に恵まれず、ようやくヒスパニック系映画監督、ロバート・ロドリゲス氏による『デスペラード』でアントニオ・バンデラスの相手役を演じ、ハリウッド女優として開花した。
同誌の今回の特集記事のタイトルは、“A Woman’s Weapons”。ここでハエックは “女性の武器” をいかに正しく使い、自分を高め、道を切り開いて生きて来たか、苦労続きであった過去を告白した。
「ハリウッドに来てからしばらくは、人生最悪の日々が続いたわ。人種差別との闘いよ。私がハリウッド映画で主役を貰うと知った時、アメリカ人監督やプロデューサーは、一様に信じられないって顔をしたのよ。」
「もっとも私自身、米国には違法に入国したのよ。まだそれがラクに出来た頃の話だけれどね。」
彼女の渡米は1990年の時。確かに米国が陸軍兵士を国境沿いに網羅させ、赤外線装置やヘリコプターを飛ばすなど、国境警備を徹底させたのはその後のことである。
メキシコが生んだ最も輝かしい功績を誇る女優、と言われるようになった自分をラッキーだと語る一方で、今年の春、アリゾナ州で議決された移民新法 “SB1070” 以来、多くの州が不法移民労働者の取り締まりを強化し、新法を打ち立てていることにハエックは強い苛立ちを示した。
私見ではあるが、ヒスパニック系不法移民労働者が、安い賃金で頑張ってくれているいわゆる3K的な仕事を、LAあたりの白人が同じ賃金で黙ってやるとはとても思えない。
安く働いて貰いながら肝心なところでは差別する、この困った米国の体質にどのようにヒスパニック系の人々が泣いているか、関心がおありの方には『ルポ 貧困大国アメリカ』という堤 未果さんの著書を是非ともお勧めしてみたい。ちなみにレディー・ガガもこの移民新法に反論する一人である。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)