エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】「あれは、画像がないはず?」とタモリが証言した『マイルス・デイヴィスとの対談』YouTube動画の真相を探る。

タレントのタモリがジャズに堪能なことはよく知られる。ジャズ界の巨人といわれたトランペッター、故マイルス・デイヴィスが以前、来日した時のことだ。タモリとマイルスの対談が設定された。その動画はYouTubeでも見ることができるのだが、タモリは「あの画像はないはず」と不思議そうにしていたのだ。

11月29日放送の「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングにはミュージシャンの斉藤和義が登場した。斉藤はトークの中でタモリのトランペッターとしての話題に触れた。
斉藤は動画サイトYouTubeで『クレイジーキャッツとタモリが演奏する場面』を見て「素晴らしかった」ことを話すと、タモリは「古いなー!」と懐かしそうに言った。
さらに斉藤が「マイルス・デイヴィスにタモリさんがインタビューしていたのも見ました」と話したのだ。斉藤の記憶ではそれは『マイルスの自宅で』あり『マイルスがずっと画を描いていた』というシーンだった。

タモリはそれに対して「あれはマイルスが日本に来たときのだね」とマイルスの自宅ではないと訂正したのだ。そして「あれは、画像がないはずなんですよ。雑誌の対談だったんですよプレイボーイの…」と言うではないか。
マイルスとの対談は雑誌記事用の企画でカメラは入っていないのに、なぜ動画が残っているのかとタモリは不思議に思っていたのだ。

そんなタモリの発言が気になったのでYouTubeで確認してみると、その真相が見えてきたのだ。
確かにタモリがマイルス・デイヴィスと対談する動画はあった。そして斉藤が言うように『マイルスがずっと画を描いていた』のである。
それは『ど緊張Interviews:MILES DAVIS 1985/08/16』など他にも同じ動画がいくつかアップされているもので、以前放送されていた人気番組「今夜は最高!」での企画だったようだ。
この動画はテレビ放送用に撮影されたものに違いない。マイルスは終始画を描きながらカメラなど意に介さず話しているが、タモリは明らかにカメラ目線で「それではここでCM」とまで言っている。
つまりこの動画に関してはタモリが『画像がないはず』と記憶するインタビューではないのだ。

もうひとつの動画『マイルス・デイヴィスとの対談を振り返るタモリさん』は1995年にNHK BS2で放送された『タモリのジャズスタジオ』の様子である。タモリと清水ミチコなどタレントや音楽関係者などとの座談会の模様がアップされている。
これはタモリの言う『雑誌の対談』に状況は似ているが、しかしテレビ放送用であることは違いない。画像の粗さやアングルから考えるとテレビカメラでなくビデオカメラかとも考えられるが定かではない。いずれにしろ『雑誌の対談』ではないのだ。
どう考えても2010年の今、タモリが『マイルスとの対談』に関して記憶する『雑誌の対談なので画像はないはず』という内容と斉藤和義の見た『マイルスがずっと画を描いていた』というシーンは一致しないのだ。
そもそも『マイルスとの対談』自体が25年も前の出来事なのでタモリの記憶も曖昧になっていて当然だろう。

このタモリと斉藤のトークをきっかけに『タモリとマイルスの対談』シーンを見ることとなったわけだ。1985年にリアルタイムで見た記憶はあるのだが、改めて見るとタモリの凄さがよく分かる。緊張しながらもこのようにマイルスに対してユーモアを交えながら対話できる人間はそうはいないだろう。しかもすべて通訳を通して日本語で話しており、一切英語を用いないところもタモリらしさを感じた。
こうした彼の持つ魅力をこれからももっと出していって欲しいものである。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)