writer : techinsight

スマホ牽引で携帯市場がV字回復 2015年度までの国内中心のIT主要5市場の分析と規模予測を発表 野村総研

野村総合研究所は、2015年度までの国内を中心とするIT主要5市場の分析と規模予測を行った。2010年12月17日の既報に続き、ネットビジネス市場6分野、モバイル市場4分野、ハード市場8分野についての予測結果の発表となる。

ネットビジネス市場は、パソコン向けに加え、携帯電話向けの市場が伸びており、全体として順調な拡大が期待できる。

ネットビジネスの市場全体では、2010年度の約12兆円から、2015年度には18兆円へと、約1.5倍の拡大が見込まれる。

消費者向け電子商取引の分野は、ネットビジネス市場で最も大きな割合を占め、2015年度には約12兆円に達する見込みである。

これからの5年間、市場拡大を牽引するのは「モバイル(携帯電話向け)EC」であり、金額規模で2.5兆円を突破すると見られる。

インターネット広告市場は、成長速度をゆるめつつも、2010年の約6,400億円から2015年には約9,300億円に拡大すると予測される。

そのうち携帯電話向け広告の市場は、2015年に約3,300億円となり、インターネット広告市場全体の35%を占めると見込まれる。

音楽配信市場は、スマートフォンの普及と、音楽配信におけるクラウド化の進展が起爆剤となり、2015年度には2010年度の1.6倍となる1,020億円に達すると見られる。

インターネットオークションにおいては、物品の送付を必要としない、デジタルコンテンツやデータなどの取引が増加している。今後は、年率5%程度の緩やかな成長軌道にのり、2015年で約1兆1,700億円の規模となると予測される。

携帯電話市場は、スマートフォンが牽引役となって回復基調が見込まれる。
スマートフォンの台頭により、携帯電話の事業構造が大きく変革しつつあり、一人で複数台を保有したり、フォトフレームのような新たな用途の開拓で、回線契約をふやす動きが進むと考えられる。

ワイヤレス・ブロードバンドは、今後はWiMAXやHSPAなど、より高速なサービスの普及や、第3.9世代LTE(Long Term Evolution)のような新たな無線方式などの導入により、2010年度の2,400億円から、2015年度には4,200億円程度の市場へと成長することが期待される。

モバイルコンテンツは、2010年の約5,800億円から、2015年には約6,700億円に緩やかに拡大すると見られる。

電子書籍市場やゲーム市場を筆頭に、「エンターテインメント系市場」は拡大するものの、「情報サービス系市場」の縮小もあり、長期的には市場成長は鈍化すると見られる。

電子書籍については、2010年に、日本国内でも市場が立ち上がった電子書籍の端末市場が、2015年までの累計販売台数が1,400万台の規模になると予測される。
電子書籍向けのコンテンツも増加し、2015年のコンテンツ市場規模は2,400億円に達する見込みである。

本調査の結果は、単行本「これから情報・通信市場で何が起こるのか ~IT市場ナビゲーター 2011年版~」として、東洋経済新報社より12月22日に発売される予定となっている。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)