「初音ミク」などのVOCALOIDに歌わせたオリジナル楽曲が、音楽業界でも注目を浴び、カラオケなどでも配信されることがある。しかしクリエイター自身はその著作権収入を得ることができないのが現状だ。もしJASRACなどの著作権管理団体に登録すると、確かに著作権収入は入るが、クリエイター自身も自由に利用することができなくなるからだ。
そこで、VOCALOIDシリーズの販売元であるクリプトン・フューチャー・メディア(以下、CFM)が自ら音楽出版事業に乗り出すことになった。
CFMでは、VOCALOID音楽クリエイターの意識を調査するため、2010年7月に、楽曲が配信ストアで販売、または業務用通信カラオケで配信されているVOCALOID音楽クリエイターを対象にアンケートを実施した。
その結果、回答を寄せた123名のうち、 54%にあたる66名から「自らが自由に楽曲を利用できるかたちで、カラオケなどの楽曲の商用利用によって発生する著作権使用料を得られるようにしたい」という回答を得た。
そこで、このようなVOCALOID音楽クリエイターの要望に応えるため、CFMでは「カラオケ、放送、CDレンタル」という商用での楽曲の利用から発生する著作権使用料を、VOCALOID音楽クリエイターに分配するための音楽出版事業を開始することとなった。
CFMの音楽出版事業の特長は、クリエイター自身が自己の楽曲を利用できる幅が極めて広いことにある。
クリエイターは自らの楽曲について、非商用の利用であれば手続なしに楽曲を利用でき、また第三者に対して楽曲の利用を許諾することができる。
インターネットにおける音楽の利用では、ある楽曲のリスナーが同時にその楽曲を用いたクリエイターとなることが一般的であり、このような「リスナー兼クリエイター」の利益を最大限に考慮した著作権のあり方が求められている。
CFMは、VOCALOID音楽に関わるすべてのクリエイターが非商用目的であれば自由に楽曲を利用できるようにしたままで、商用利用から得られる著作権使用料をクリエイターに分配することとした。
CFMでは、音楽著作権管理を希望するユーザー、また興味・関心を持つユーザーからの連絡・質問を、CFM・CGMチームにて、電子メール(piapro@crypton.co.jp)により受け付けている。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)