世界中が被害を受けているソマリアの海賊。10月26日に南アフリカのヨットが襲われ、船長は無事保護されたが船員2名が誘拐。11月15日、船長がその経験を語った。
船長のピーター・エルドリッジさんと、共にヨットに乗っていたカップルの2人はタンザニアのダラエスサラームから南アフリカへ向かっていた。海賊に襲われたのは10月26日ケニア沖、海賊はすべて男で年齢は15~50歳とばらけていた。
海賊はお金を要求し、カップルの2人が家族のためにと持っていたお金を奪った。海賊はさらにお金を要求したが、ヨットにはお金がない・・・海賊はエルドリッジさんたちが白人だったためイギリス人だと思ったようだ。エルドリッジさんたちは南アフリカのパスポートを見せた。
エルドリッジさんは、「自分にとってヨットはすべてだった」のでヨットから出ることを拒否すると、海賊は殴りかかってきて銃を発砲したが、幸いにも銃弾は当たらなかった。
海賊たちと争っているうちに船は座礁、それを見たフランスの戦艦が助けようと近づいてきた。実は襲撃前、エルドリッジさんは海賊が自分たちのヨットをつけてきているのを見て、救難信号(メーデー)を巡回していたフランス戦艦に送っていたのだ。
海賊はフランス戦艦にロケット弾を発射、それに対抗して戦艦も銃撃、海賊はカップルの2人を誘拐して逃走、エルドリッジさんは11月7日に無事保護された。フランス戦艦がいなければ今頃自分は死んでいたかもしれないと、エルドリッジさんはそのときの恐怖を忘れられないでいる。海賊と南アフリカ外務省関係との身代金に関する話し合いはまだ行われていないそうだ。
エルドリッジさんによると、海賊たちはある程度律儀でカップルの女性がお風呂に入る際はのぞき見たりすることもなかったそうだ。
海賊による被害は2010年現在289件、昨年の406件よりは減少している。ソマリア人の一般的な収入は年間平均4500ランド(約5万4000円)だが、海賊ともなると襲撃一件あたり7万ランド(約84万円)にもなるそうだ。
国民の半数以上が読み書きできないというソマリア社会で、贅沢に暮らしたいと海賊になる門扉があるのが問題なのかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)