戦場カメラマンの渡部陽一がテレビ番組で戦場についてのエピソードを話している時に、芸人が笑い出してしまう事態が起きた。渡部陽一はそのキャラクターが面白くて人気だが“戦場について話す際は真剣に聞く”という暗黙のルールを破ってしまったのだ。
戦場カメラマンの渡部陽一は今年に入りバラエティ番組に登場しだして一躍人気者となった。だが彼はバラエティ番組への出演を決断するまでには悩んだことをテレビ「金曜日のスマたちへ」の中で明かしている。彼は恩師にも相談して『君がバラエティに出ることで多くの人が紛争地域の現状を知るかもしれない。やってみればイイ』と助言を受けたのだ。
番組側でもタレントとしての渡部陽一を売りにする中にも『紛争地域・戦場の状況』を知らせる時間を作るなどして配慮しているようだ。
11月22日放送の「笑っていいとも!」ではアーティストが3つの作品を紹介するコーナーに渡部陽一が『写真家』として登場した。
渡部陽一は「アフリカのソマリアで少年が銃を横に座っている。ここでは子供も戦わねばならない」、「イラク、バグダッドでは生と死のはざ間で日常を送り、自爆テロの者が突然飛び込んで来ることがある」など、戦場で撮影した写真を紹介しながら説明していった。
そして彼は出題作品となる『戦場の中で見つけた幸せの瞬間』の3枚の写真『アフガニスタンで撮った、戦時下で情勢が不安定の中にあるゴルフ場でのゴルファー』、『イラク、バグダッドで戦時下に子供達が学校で笑顔でお菓子を食べる姿』、『アフリカ、ソマリアの紛争地域で撮った女性や子供達の笑顔』を紹介した。
レギュラー陣もその写真と渡部の話に耳を傾けていた。渡部は「撮影する時は必ず許可を取り、許可を得られない時は撮影はしません」と真剣に説明していた。その時、彼の後ろにいた芸人、楽しんごが笑いをこらえて体を震わせていたのである。
楽しんごの隣にいたロンブー淳がそれを見かねて「楽しんごが今さら渡部さんがゆっくりしゃべることにツボってる」と声をかけて間を空けたのだ。
楽しんごも「はじめてお会いしたのですみません」と申し訳無さそうに詫びていた。
進行役の香取慎吾から「それでは何か質問しろ」と言われた楽しんごは「撮る時にものすごく苦労した点とかありますか?」と渡部に質問した。
渡部もそれを受けて身振り手振りを交えてひと言ずつゆっくりと楽しんごに答えたのである。
「その紛争地域の場所まで行くために待つ時間や危険を超えていくことが大変…」と話す渡部陽一を見て「ブッ」と楽しんごは思わず噴き出してしまったのである。
さすがにマズイと思った周囲からは「失礼やろ! 質問に答えてくれてるのやろ!?」と非難の声もあがった。
楽しんごもツボにはまってしまい笑いをこらえきれなかったのだろう。彼は「渡部さん、ほんとにいい人なんで…」と渡部にすりよって詫びるしかなかった。
ちなみにこの時の渡部陽一の楽しんごの質問に対する答えは「現地生まれの方が通訳、セキュリティーとして同行して必ず複数で行動するので、独りで行動することはない」という内容だった。
戦場カメラマンの渡部陽一がバラエティ番組から出演オファーを受けたのは彼の独特なキャラクターがウケるからに他ならない。しかし彼は『戦場の写真を紹介する』という目的も持ち出演に踏み切ったのだ。そのバランスを上手く取ることが必要であり、周囲もそうした彼の主旨を理解して協力して欲しいものだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)