でーたでったでーたでったでたでたでったー!白黒のTシャツを着た子どもたちが踊りながら街中を闊歩するコマーシャルには、一度見たら忘れられないインパクトがある。ゲームのコマーシャルは多く流れているが、攻略本のコマーシャルとなるとあまり見たことがない。少なくとも私の記憶には前例がない。攻略本はその性質上、大々的に広告を打たなくともある程度の売り上げが見込めるからだ。ゲームソフトを購入したすべての人が攻略本を購入する可能性があり、ソフト自体が攻略本の広告となっているのだから。
ドラゴンクエストIXの攻略本が2日で20万部近くを売り上げたのは記憶に新しい。本が売れない時代、この数字は間違いなくベストセラーといっていいだろう。だがその時点でゲームソフト自体は300万本売れていた。ソフトの数に対し攻略本の売り上げがあまりに少なすぎる。攻略本は他の本同様、売れなくなってきているのだ。
その原因にインターネットの普及がある。wikiや掲示板で攻略情報が飛び交っているため、わざわざ金を出して攻略本を買う意味が薄れてきているのだ。しかもネットの情報は攻略本に比べて早く出回り、攻略本よりも正確なことも多々ある。これでは攻略本が売れなくなっても仕方がない。
そんなご時世にあえて攻略本のコマーシャルを流す意図はなにか。テレビで攻略本の存在を高らかに謳うことで、子どもたちをネットから遠ざけようというのではないか。
ゲームは長らく悪とされていた。犯罪者がゲーム好きであればマスコミはここぞとばかりに取り上げ、犯罪はゲームの影響とゲームそのものを糾弾。理解できない事態を理解できないツールのせいにする、愚者の所業である。しかしここ数年のライトユーザーの増加により、ゲームに対する風当たりは和らいできた。ゲームは許されたのだ。
子どもたちにとってゲームよりもネットが危険、多くの親が持っているこの概念は正しいか、否か。また、ネットが世間から許される時が来たら、次はなにが悪とされるのか。悪いのはツールではなく使用する人間だ、などと言ってみてもせん無いことなのであろう。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)