writer : techinsight

【コマーシャル愚想】吉田栄作主演の“トレンジー”ドラマ。

現在、トレンジードラマが放送されている。トレンディではない、トレンジーだ。というか、まあ、ぶっちゃけドラマではない。日清食品の新製品「マイ・レンジ・タイム」のCMである。

舞台は空港。男が誰かを探している。視線が捕らえたのは白いコートを着た女の後姿。呼び止める男「マイ!」、女はそれに答えて「レンジ!」。どこかで見たことがあるような、トレンディドラマの原風景ともいえる場面を踏襲している。BGMも油断して聞いていると東京ラブストーリーかと思ってしまうほどの“らしさ”だ。

いわゆるおもしろCMの類に入るのであろうが、笑えない。私がトレンディドラマをオンタイムで楽しんでいた世代だからだろうか。ハハ、と苦笑が漏れるばかりだ。

あくまで記者の中の分類であるが、トレンディドラマは東京ラブストーリー前、東京ラブストーリー後に分かれるように思う。レンジ役の吉田栄作はどちらかと言えば東ラブ前で活躍していた俳優だ。東ラブと同じ年に放送していたもう誰も愛さないの主演ではあったが、あのCMのさわやかなイメージはそぐわない。もっといえば、やはり吉田はカンチではない。もっとも、あえてそこを狙ったのかもしれないが。

一方、マイ役の西原亜季はかなりいい。メイク、髪型、服装とどれをとっても90年代トレンディドラマから抜け出してきたかのようだ。吉田に対してレンジ!と呼びかけるシーンが、回数を重ねるごとにどんどん鈴木保奈美に見えてくる。

何度見てもやはり笑えないが、印象に残るCMではある。過去にもトレンディドラマをパロディにしたCMはいくつかあった。が、どうしても商品名が思い出せない。それを思えばこのCMはマイ!レンジ!の連呼で視聴者への刷り込みは十分。どこかで商品を見かけたらうっかり買ってしまいそうだ。それだけでCMとしては大成功であろう。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)