writer : techinsight

【コマーシャル愚想】今の子どもたちは知っている?ワレワレハ、ウチュウジンダ。

「ワレワレハ、ウチュウジンダ」
喉を手でトントンと叩きながら、もしくは扇風機の前でこの台詞を言ったことがある人は少なくないはず。チープなエフェクトをかけることで宇宙人の声が一丁あがり、昭和の子どもなら誰もが経験のある遊びであろう。

平成22年の今現在、この手法を使ったCMが放送されている。ハウス食品の「カレー鍋つゆ」だ。子どもたちが宇宙人の声で母親にカレー鍋を要求、母親も同様の声で答えるというもの。微笑ましく温かなCMであるが、ふと疑問がよぎる。今の子どもたちは果たして、あの遊びをするのだろうか。

私が宇宙人と聞いて思い浮かべるのは、ウルトラマンの○○星人、ET、MMRやXファイルのグレイ、そして由来がまったく思い出せないが脳裏に刷り込まれているタコ型の宇宙人。彼らはすべて異形である。

あの姿かたちならば、人間と同じような声では違和感を覚える。だからこそ宇宙人の声には独特のエフェクトがかけられていた。それを真似するための手段が、喉トントンであり、扇風機だったわけだ。

しかし現在の宇宙人に異形は少ない。ハルヒシリーズの周防九曜や缶コーヒーのCMに登場するジョーンズなど、見た目は普通の人間と変わらない。容貌に限っていえば、宇宙人は徐々に異形から人間に近い形へとシフトしているのだ。

見た目が人間と変わらない以上、話し方だって変わらないはず。よって、宇宙人の声を喉トントンや扇風機で表すことは旧時代の遺物である。もはや「ワレワレハ、ウチュウジンダ」のフレーズすら消え行くさだめなのだ。

ところがまさかのCM起用。喉トントンは生きていた。こうなってくると、出演していた子どもたちが喉トントンを以前から知っていたのかが気になるところ。諸氏の周囲の子どもたちはいかがだろうか。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)