「ツイッターで飛躍的なクチコミマーケティングを」というかけ声の下、主要企業の多くがツイッターアカウントを持ち情報発信を行っているが、果たしてその分析結果はどうなっていて、どうフィードバックされているのか、まだ具体例はそれほど多く発表されていない。
しかし、今般、日経リサーチとNECビッグローブは、共同でツイッター上での桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」のクチコミ分析を行った。なお、ツイッターデータは、NECビッグローブ『ツイッターデータ分析サービス基盤』のデータを利用。分析は日経リサーチが実施した。
「食べるラー油」という新しい市場をつくった桃屋の「辛そうで辛くない少し辛いラー油」は、2009年8月に発売以来大ヒットを記録。そこで、クチコミの伝播スピードが特に速いと言われるツイッター上で「食べるラー油」ブームの拡がりを分析した結果、返信・転送比率にブーム拡大の先行指標のような動きがみられ、Webサイトを引用することで情報が伝播していく様子がみられることが明らかになった。
「辛そうで辛くない少し辛いラー油」について、ツイッター上での”つぶやき”(投稿)を(1)誰かに返信したつぶやき(reply)、(2)誰かのつぶやきを転送したつぶやき(retweet)、(3)それ以外のつぶやき(simple tweet)、の3種類に分類。
件数の推移では、テレビの情報番組でラー油の特集が組まれた3月22日~28日の週に最大を記録した。
種類別の構成比では、他者のつぶやきに返信や転送をした割合が2月8日の週に、前週の36%から57%へと急増している。これは、ラー油について書かれたつぶやきについて、返信や転送といった形で関心を示したことを表しており、ツイート数が最大となるおよそ一ヶ月半前から既にラー油のつぶやきに対する関心が高まっていたことが推測される。
ツイッターでは、投稿できる文字数が140文字と制限されるため、情報量の多いものはURLを引用して伝えることが多い。
ツイッターのユーザー間での返信や転送といったコミュニケーション・ネットワークに、つぶやきで引用されたWebサイトを重ねると、最も引用が多かったTwitpicをはじめ、画像共有サイトの引用が目立つ。
ユーザーは、ラー油を購入できると、まず商品自体やご飯にかけた場面等を写真に撮って、それを公開することが多いためである。また、製品メーカーサイト、製品を紹介するニュース記事(GIGAZINE、Yahoo!ニュースなど)、ソーシャルゲームのネタ(ツイッター診断メーカーでの診断結果)などの引用も混在しており、企業の商品サイトや品薄状態を伝えるニュース記事を引用することでクチコミを拡げていることがみてとれる。
従来の一般ブログにおける評判分析は、発信される情報内容が主であったのに対して、ツイッター分析ではこのようなユーザー間のコミュニケーションや参照情報がより注目すべき分析対象となりそうだ。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)