民間調査機関の労務行政研究所は、2010年4~5月に「企業のメンタルヘルス対策に関する実態調査」を実施した。
近年、メンタルヘルス不調者が増加し、メンタルヘルス対策が企業の大きな課題となっている。そのような中、企業におけるメンタルヘルス不調者の実態や、各社の取り組みについて、2008年以降2年ぶりに調査したものである。
これによると、最近3年間においてメンタルヘルス不調者が「増加している」と回答した企業は44.4%で、2年前の調査時(55.2%)に比べると10ポイント程度減少した。
一方、過去の調査に比べて予防・復職支援策の実施率はさらに高まっており、メンタルヘルス対策への取り組みが広く浸透してきていることも、不調者増加傾向の歯止めに寄与しているのではないかと考えられる。
メンタルヘルスにおいて重要なのは、適切な休養期間を与えるとともに、復職に向けて全社的にサポート体制を整えることである。
「過去にメンタルヘルス不調で休職した社員がいる」企業が63.5%と6割を超えている。1000人以上規模では、97.5%とほとんどで過去に休職者が発生している。
上記のうち、完全に職場復帰できたのは「半分程度」とする企業が25.1%で最も多く、以下「7~8割程度」が22.0%、「ほとんど(9割以上)」が20.3%と続く。この3者に「全員」復職できた(7.9%)を合計すると約75%となり、4分の3の企業で「半分程度」以上が完全復帰できたことが分かる。
メンタルヘルス不調者が発生する原因の多くは職場環境及び人間関係にあると言って良いだろう。ワークライフバランスを重視した定時退社日の設定と励行、良好な職場コミュニケーションの醸成といった対策を今後も講じていく必要がある。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)