猛暑の中、毎年恒例の霞が関夏の陣こと2011年度予算概算要求が終了した。これから年末にかけて各省とも、予算獲得を巡って、財務省との調整が行われる。
ところで、今年の菅政権が新設した「元気な日本復活特別枠」において、噴飯ものの予算要求が行われていたようなので、これについて考察してみることとする。
アニメや漫画、食など「クールジャパン」といわれる日本文化の海外発信に力を入れようと、文部科学、経済産業、外務の3省が来年度予算に計27億円を要望する。各省は「それぞれの特長を生かした役割分担」(中川正春・文科副大臣)で、予算獲得を目指すとのことだ。
いつからアニメや漫画が国策レベルでの文化振興対象に昇格したのか不明であるが、とにかくアニメ利権というのが発生しそうな様相である。
要望金額としては、それほど大きな金額ではない。最も大きい経産省でも19億円であるから、財務省主計官のさじ加減ひとつで、どうにでもなる規模である。
しかし、予算というものはゼロ査定はいくら努力しても何も実を結ばないが、1円でも予算が付けば、それは既得権益として毎年恒常的に予算が付く。
お役所が予算を獲得した場合、まずは箱物作りに精を出す。
昨年事業仕分けでボロボロに叩かれた後、今年競売入札にかけられても応札者がなかった悪名高い「私の仕事館」に替わって、今度は「ぼくらのアニメ館」とか「フードコート ニッポン」でも建設するのが関の山であろう。
外務省は、海外にある大使館などで、日本食の料理教室や日本酒の試飲会を開いたり、日本のファッションについてのセミナーや展示会を催したりするとのことだが、要するに外交官の遊興費が増えるに過ぎない。
何より問題なのが、アニメ・漫画・日本食利権を巡って、複数の省庁が予算の奪い合いをしていることである。
結局、せっかくの予算枠を巡ってパイの奪い合いをして、何も成果を生み出さず、荒廃した箱物だけが残ることが、ほぼ予想が付くので、政策コンテストを含めて財務省は厳しく査定していただきたいものである。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二 )