アジア発!Breaking News

writer : maki

【アジア発!Breaking News】マイクが逆。”口パクGメン”まで登場。中国”口パク”事情。(中国)

中国で北京五輪が開催されたのは2008年のことだった。開会式では、可愛い少女が素晴らしい歌声を聞かせて世間を驚かせたが、その後それが「口パク」だったと判明して状況は一転した。開催関係者は批判を浴びることとなったのだ。この出来事を考慮した中国政府は「口パク禁止条例」を公布して対策を打ったのだが、いまだ効果は十分ではないようだ。

この時、政府はプロの女性歌手2人に約130万円相当にあたる罰金を科したが、世間では「見せしめの為の演出」との声も出ていた。その後も口パクは減ることはなく、2010年にはとうとう政府が「口パクGメン」なるものを作り、調査させることになったのだ。この件に関して「FNNスーパーニュース」(フジテレビ)では中国の現状を取材した。

2010年6月放送の同ニュースで流れた中国のテレビ映像では、アイドル女性歌手が美しい声で歌っていた。ところが彼女の手元を見るとなんと”マイクが逆”なのだ。いたって真面目に、にこやかな笑顔でマイクのお尻の方を口に向けて歌う彼女の姿には、滑稽さを通り越して、可哀想にさえ思える映像だった。これを見る限り、中国の口パクのあり方が歌手自身には無配慮であることを感じるのだ。

一方で同番組がインタビューした中国人の若手男性歌手2人は口パクに対して「主催者側に口パクを要請されたことがある。口パクは絶対反対だ」「口パクは歌手として恥ずかしい」と語っていた。歌手としては自分の歌を聞かせたいのは当然だろうが、企画する側が安易に口パクに頼る環境があるようだ。

中国ではこのように問題となる口パクだが、世界はもちろん、日本でも必要に応じて行われるパフォーマンス手段ではあるのだ。激しいダンスやアクションをしながら歌う場合には口パクやマイク音と併用することもある。

米国の人気歌手、ブリトニー・スピアーズは口パクでLIVEを行うことが少なくない。ファンからも賛否の声が出ていたが、昨年はオーストラリアのシドニーで口パクする旨を「チケットに明記すべきだ」とされて問題となった。日本では今年復帰した沢尻エリカが久々に新曲を披露したものの「マイクが故障した」という理由で口パクで歌い話題となった。こうした例は賛否は出るものの、可否を決する事は難しいのだ。

逆の例としては1999年にロックバンドのDragon Ashがテレビ「CDTV」でスタジオライブを行った際にボーカルの降谷建志が”マイクを逆”に持って歌ったことがある。彼は口パクであることをアピールして番組側の姿勢を皮肉ったのだろう。純粋に周囲を信用してマイクを逆に持って歌う中国の女性歌手と比べるとそのギャップにはため息がでそうである。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)