ワールドカップの開会式を見た人は、あの晴れ渡った空を見て、南アフリカがとてもいい天気で暖かいと思っているかもしれない。しかし南アフリカの6月は冬の始まり、気温もぐっと下がってきている。ここ数日襲っている寒波で、東ケープ州のアルゴア・ベイに生息しているケープペンギンが1日でおよそ500匹死んでいることがわかった。
寒さに弱いのは生後数週間から2ヶ月のヒナ。彼らは産毛のような羽でしか体を覆っていないので、寒さや雨に弱いそうだ。その寒さと雨がアルゴア・ベイにあるバード・アイランドに襲ってきた。このバード・アイランドには、ペンギンのつがいがおよそ700組生息しているが、半数以上のつがいがヒナの死に見舞われ、種の衰退に拍車をかけている。
ケープペンギンは、最近絶滅危惧種に分類されてしまうほど頭数が減ってきている。
ペンギンのヒナは通常群れの約3分の1を占めているが、今回のように気候の急激な変動でヒナが死亡するケースはよくあることだと南アフリカナショナルパークのスポークスマンは述べている。バード・アイランドの職員は現在全力で残りのペンギンを救おうと、仮設避難所を設置した。さらに、ここ数日の雨で水浸しになったペンギンの巣をきれいにする作業も行っている。
南アフリカのポートエリザベス近郊にある最大のケープペンギン繁殖施設であるSt Croix Islandでも、ケープペンギンが死亡している。ここでは海が荒れているため施設に戻れないペンギンもいるので、被害状況が把握できないとのこと。
今週から冷え込みは厳しくなり、テーブルマウンテンにも雪が積もった。産毛だけでは寒くて仕方がないだろう。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)