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writer : techinsight

【エンタがビタミン♪】「アノ映画に出るなら自殺する」母・富司純子を泣かせた、寺島しのぶの凄まじい女優魂。

父は歌舞伎役者の七代目尾上菊五郎、母は大女優の富司純子、弟は五代目尾上菊之助という寺島しのぶ。そんな恵まれた家庭環境からなんの苦労もなく女優になったと思われがちだが、そうではない。寺島自身の口からその家柄ゆえの苦悩が語られた。

今年度のベルリン国際映画祭で、最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞した寺島しのぶ。梨園の家に生まれ、大女優を母に持つ彼女が、6月25日放送の「A-Studio」でその苦悩を語った。輝かしい受賞歴と迫力ある演技、もはや大女優といっても過言ではない彼女だが、とても気さくな語り口で楽しいトークが展開された。

尾上家に長子として生まれながらも、女は歌舞伎役者になれないということから挫折感を抱いたというしのぶ。鶴瓶と弟の菊之助が尾上家のけいこ場で語る写真を見て「私はここに入ることができなかった」と、悔しそうに語った。

歌舞伎役者は諦めても女優になるという夢を抱き続けたが、それは家族にも決して言わなかったという。学生時代は部活に熱中する逞しいスポーツ少女で、とても女優を目指しているようには見えず、母の純子は、娘は女優にならないと思い、着物などは全部、他人に譲り渡してしまった。

そんな中で女優としてデビューするも母の力は強く、意見が合わないときはぶつかり合った。特に映画「赤目四十八瀧心中未遂」でしのぶがヌードになるときに母は当然ながら猛反対した。

「あなたがこの映画に出るのなら私は自殺する」と言われ、負けじとしのぶも「私がこの映画に出られないのなら自殺する」と言い、激しい口論になったそうだ。だが、結局はしのぶはその素晴らしい演技でアカデミー賞最優秀主演女優賞を勝ち取った。そのとき母のコメントは「恐れ入りましたとか言いようがない」というものだった。

今回の銀熊賞受賞の時も、母は号泣していたそうだ。もはや母・富司純子を超えた女優・寺島しのぶだった。

歌舞伎役者の家に生まれながらも家を継げない悔しさ、美人女優だった母と比べられる悔しさ、そして生まれ持ったその“激しさ”が女優としての寺島しのぶに見事に昇華したとでもいうのだろうか。そんな彼女も結婚してからは丸くなって、家族との関係もよくなったという。夫のローラン・グナシア氏は彼女の激しさを受け止めることができる男性なのだろう。また女優としての自信も、コンプレックスに悩まされてきた彼女を変えたのだろう。今後もさらに凄い演技を見せてくれるに違いない。
(TechinsightJapan編集部 大藪春美)