writer : techinsight

【名盤クロニクル】変態ジャズロック アレア「クラック!」

(画像提供:Amazon.co.jp)

(ジャンル:ロック)

ロックミュージックは、伝統様式としてのロックンロールやメタルなどを除けば、さまざまな異種音楽との混交である。その中でも民族音楽、ジャズ、現代音楽などをどん欲に取り込んで、単なる共演や融合ではなく、高度な次元でブレンドされた音楽性と高い演奏技術で通ウケするバンドが3つある。
イギリスの「ジェントル・ジャイアント」、フランスの「マグマ」そして今回紹介するイタリアの「アレア」である。

アレアの1975年のアルバム「クラック!」では、ヴォーカル(ヴォイス)のデメトリオ・ストラトスの喫驚なヴォーカリゼーションに、ジャズや地中海音楽、現代音楽などを片っ端から放り込んだような摩訶不思議な音響、そして超人的な変拍子などが高度な演奏技術によって統合されている。

とにかく変な音楽を聴きたいが、現代音楽のような難解なものはイヤだというリスナーには、アレアのサウンドはぴったりであろう。

不幸にして、フロントマンのデメトリオ・ストラトスが夭逝してしまったため、活動期間は短かったが、残されたアルバムはどれも傑作揃いである。

そして、アレアの音楽はイタリア音楽のひとつの特徴として、地中海を接してアラブ圏域の影響を受けているということが挙げられる。完全なアラブ音楽は、我々日本人にとってなじみにくいものが多いが、アレアの音楽の随所に見られるアラブ的なムードも個性のひとつとなっている点が面白い。

(収録曲)
1. 白い象
2. オデッサのリンゴ
3. 巨大都市
4. のたうつ怒り
5. 栄光と革命
6. インプロージョン
7. アレア5
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)