南アフリカ医学ジャーナルの報告によると、囚人が意図的に針金やネジ、ガラスなどの異物を飲み込み、医師を驚かせていることがわかった。囚人は、なぜ異物を飲み込むという行為をするのだろうか。
このレポートはブルームフォンテイン郊外にある凶悪犯収容刑務所であるマンガウン(Mangaung)刑務所の囚人1,112名を対象に5年間行われたもので、サミュエル・スミット教授とフランス・クラインハンス(マンガウンクリニックマネージャー)の2人によって書かれた。5年間で発見された囚人が飲み込んだ異物は45件、主に針金やネジ、歯ブラシ、ガラスといったものが多いそうだ。針金など先のとがったものなどは飲み込む際に先を曲げたりビニールで覆ったりという工夫もしている。さらに1人の囚人が3年間で24個の異物を飲み込んだというケースもあった。
報告では「異物は針金やネジといったX線に写る物が多い。囚人が自分たちの行動を誰かにわかってもらいたいというアピールをしているのだろう。」と述べている。囚人が飲み込んだ異物を発見した場合、ピンセットや内視鏡、時には手術で取り除く場合が多いが、囚人の体内を無事通過して出てきてしまうものもあるそうだ。
この異物を飲み込むという行為は一種の「ハンガーストライキ」のようなものであり、刑務所というシステムへの挑戦を表していると考えられている。なので、囚人が刑務所生活に慣れてくるとこの行為はなくなっている。
刑務所という異空間に放り込まれその中で精神状態を維持するのは、凶悪犯であっても大変な努力が必要なのだろう。しかし、針金やガラスなどの危険物を囚人はどこで手に入れるのであろうか。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)