先週木曜日の午後、ヨハネスブルグ郊外にあるソウェトと呼ばれるタウンシップでは、ネルソン・マンデラのサプライズに誰もが興奮していた。人々は自分の目を疑い、本人と分かると満面の笑顔で手を振り続けた。マンデラはアパルトヘイトの傷跡残る重要スポットを訪れた。
ソウェトはアパルトヘイト時代に学生蜂起で死者を出した有名なタウンシップだ。そのソウェトの道を護衛の車が4台連なって登場した。そして高級な黒のBMWセダンにネルソン・マンデラが乗っていた。
護衛車は見物人の注目を浴びながら、マンデラの自宅やデズモンド・ツツ大司教の自宅などを含むソウェトの有名スポットに停車した。このサプライズツアーでマンデラは住民を笑顔に変えた。ツアーの間マンデラはセダンから降りることはなかった。91歳になるマンデラは健康が問題視されており、テレビでも杖を使いながら非常にゆっくりと歩く姿を映されていたが、見る限りでは91歳ならではの健康体だったそうだ。
ソウェトのいたるところでアパルトヘイト中に恐ろしい出来事があった。しかし、マンデラは当時獄中にいたため歴史上の出来事を覚えていない部分もある。今回はそういった場所も訪れた。その一つ、反アパルトヘイト活動家たちが虐待から逃れるために避難した教会があった。マンデラがそこを最後に訪れたのは1997年とのこと。活動家たちの活気に満ちていた尊敬に値する場所、人々の大聖堂として知られるようになった場所だと懐かしんでいた。
ここ数日は政府がマニフェストとして掲げていたタウンシップのインフラ整備が行われず、市民の抗議行動と警察の衝突が続いており険悪なムードが漂っていたが、マディバ(父=マンデラ)の登場で住民の心は大いに癒されたことだろう。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)