今は、女優としても活躍するいしだあゆみがまだ23歳の頃である。当時、デビューしたばかりのさだまさしと共演した事がある。彼女は、さだまさしがその時の自分を見て「なんだこの変な人・・・」と誤解しているのではないかというのだ。いしだはテレビ「メレンゲの気持ち」の中で「そのことがずっと胸につかえている」と明かした。
いったい、彼女はなぜ誤解されるようなことになったのか。
いしだあゆみは15歳の時にデビューしてから現在で芸能生活46年となる。
「メレンゲの気持ち」に出演した彼女はある悩みを打ち明けた。
それは「ブルーライトヨコハマ」のヒットで彼女が売れに売れていた22歳の頃だ。
日本テレビで昼の時間帯にある生放送の歌番組に出演した。
スタジオで彼女の前に歌ったのが
さだまさしのいた「グレープ」だったのだ。
歌は「精霊流し」だった。
超売れっ子で忙しかった彼女は、
スタジオに到着するとすぐに裏でスタンバイしていた。
そこにステージからさだまさしの歌が聞こえてきたのだ。
いしだあゆみはこの時「精霊流し」を初めて聞いたという。
「その歌詞が悲しくて悲しくて、
すっかりその主人公になっちゃって・・」
彼女は感動で
「涙はボロボロ、鼻水はダラダラ」
になってしまった。
この頃はメイクさんなどもいない時代で、
いしだはそのまま、マイクの前に立った。
そしてまだ涙が止まらない彼女は
「歌えなかったから、ジーッとしていたんですよ」
と言うのだ。
その時にステージから下がるさだまさしと目が合った。
そして
「振り返った顔が『なんだこの人?』みたいな誤解された顔だった」
と彼女は感じたのだ。
いしだは「このことが今も後悔される」というのである。
さだまさしになんとか
「あの時、鼻水出して、歌えずにぐしゃぐしゃになっていたのは、
あなたの歌に感動してだったんですよ」
と伝えたいと話した。
すると番組のスタッフも粋なことをしてくれた。
このいしだの思いをさだまさしに伝えたのである。
彼からのビデオによるコメントがスタジオで紹介された。
さだまさしは実際にはその場面の記憶は無いが
「そういう、話は友人から聞いて知っていた」
と話していた。
なぜ、覚えていないかというと
「あの頃はものすごく、緊張していたので、歌い終わると頭は真っ白だった」
ということだ。
そして
「そんなにピュアに自分の歌を聞いてくださっている」
「しかも、一緒に歌う先輩がいてくださったのはものすごく感激です」
と感動しきりだった。
こうしてさだまさしに事情を伝えられたいしだあゆみは
「これで、胸のつかえが下りました」
とほっとしていた。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)