writer : techinsight

【名盤クロニクル】円熟の大人ポップ サンタナ「スーパーナチュラル」

(画像提供:Amazon.co.jp)

かつて日本の音楽マーケットにおいて洋楽はかなり大きな位置を占めていた。というよりも、J-POPが十分に成熟しておらず、優れた音楽を聴きたいと思ったら洋楽偏重にならざるを得なかったと言ってもよい。
今では、そのようなことはなくなった反面、洋楽がえらく敷居の高いものになってしまった感がある。そんな中、初めて洋楽を聴く人にも、洋楽を聴きこんできた人にもオススメできるのが、サンタナのグラミー賞受賞作品「スーパーナチュラル」である。

サンタナといえば、60年代末から活躍しているラテンロックの大御所である。しかし、本物のラテンにありがちな土臭さがなく、特に日本人に好まれる独特の歌謡性とスピリチュアルなサウンドを併せもつ唯一無二の存在である。

80年代以降は、ワールドミュージックの台頭で、サンタナのラテンロックも数多くのワールドミュージックの一つとなってしまい、新鮮味がなくなったこともあって、80年代後半から90年代にかけてはセールス的にパッとしない時期が続く。

しかし、1999年にラップやレゲエなども上手に吸収しながら、往年のサンタナファンをも満足させる素晴らしいアルバムを発表した。それがこの「スーパーナチュラル」である。
円熟したアーティストには、どのようなサウンドの衣装を着せても個性が際立つことを堂々と示したアルバムと言える。

ラテンロックというよりは、大人のコンテンポラリーポップとして企画されており、昔から変わらないラテンビートサウンドに、洗練された楽曲とアレンジが加わり、非常に親しみやすく、素晴らしい仕上がりとなった。

ゲスト陣が多彩なのも特長の一つだ。やはりパーマネントなバンドだけで完結するよりも個性的なゲストを加えて、新たなコラボに挑戦したことで、新鮮さが生まれたと言える。
(収録曲)
1. ヤレオ
2. ラヴ・オブ・マイ・ライフ(フィーチャリング・デイヴ・マシューズ)
3. プット・ユア・ライツ・オン(フィーチャリング・エヴァーラスト)
4. アフリカ・バンバ
5. スムーズ(フィーチャリング・ロブ・トーマス)
6. ドゥ・ユー・ライク・ザ・ウェイ(フィーチャリング・ローリン・ヒル&CEE-LO)
7. マリア・マリア
8. ミグラ
9. コラソン・エスピナード(フィーチャリング・マナ)
10. ウィッシング・イット・ワズ(フィーチャリング・イーグル・アイ・チェリー)
11. エル・ファロル
12. プリマベーラ
13. ザ・コーリング(フィーチャリング・エリック・クラプトン)
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)