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【名盤クロニクル】菊池雅章「ススト」

(画像提供:Amazon.co.jp)

名盤と呼ばれる作品の中には、「発表当時には一般ウケしなかったが、後世への影響が絶大」という類のアルバムがある。ビートルズの「サージェント・ペパーズ」やマイルス・デイビスの「オン・ザ・コーナー」などがそれに該当する。それぞれに影響を受けた新たな名盤を生み出すという創世的な存在となっている。
今回は、マイルス・デイビスの「オン・ザ・コーナー」に絶大な影響を受けた名作として、菊池雅章の「ススト」を紹介する。

アルバムを紹介する前に、冒頭に掲げた記念碑的アルバム「サージェントペパーズ」と「オン・ザ・コーナー」に共通する点を挙げれば、様々な音楽的要素の集合体であるという点である。ロック、ジャズ、インド音楽、現代音楽などが坩堝のようになって混在している。

菊池雅章は基本的にジャズミュージシャンなので、影響を受けたのはマイルス・デイビスの「オン・ザ・コーナー」であるが、「オン・ザ・コーナー」を称える際に使われる「リズムの饗宴」をさらに発展させ、80年代に新たにブームとなったレゲエやダブを取り入れ、シンセサイザーの全面的な使用により、音楽のカラーがより多彩になっている。

ゲストミュージシャンも多彩で、マイルス・デイビスに絶大な影響を受けているトランペッター日野皓正や、実際にマイルス・デイビスグループに在籍していた、スティーブ・グロスマンやデイブ・リーブマンが参加しているのも特長だ。

もし、このアルバムを聴いてインスピレーションを得たならば、さらに色々なアルバムが待ち受けている、オリジナルの「オン・ザ・コーナー」はもとより、ハービー・ハンコックの「セクスタント」、近藤等則の「IMA」バンドなどが挙げられる。音楽の楽しみがいっそう広がることだろう。

(曲目リスト)
1. サークル/ライン
2. シティ・スノー
3. ガンボ
4. ニュー・ネイティヴ
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)