writer : techinsight

【パソコン快適活用術】2010年のパソコンライフを予測する(エンタープライズ編)

2009年のエンタープライズIT分野は、毎日のようにクラウド、仮想化、グリーンIT、コンプライアンス、内部統制といったタームが踊った1年であった。
企業のクライアントはネットブックないしそれに匹敵するポータビリティを持つ端末が導入されたり、上記のタームとセットにしてシンクラの売り込み攻勢が目立った。来る2010年のエンタープライズ分野のパソコンライフはどのようになるであろうか。

(1)Windows7 VS シンクラの売り込み合戦とXP延命
WindowsXPのサポート期限は2014年まであるから、あと5年間は継続使用が可能だ。XP上で安定して動いているシステムを、Windows7にアップグレードするメリットはあまり無い。ハードウェアのリース延長または償却済みパソコンのメンテナンスサービスなどが行われる一方で、Windows7の売り込みと、セキュリティ/コストメリットを売り物にしたシンクラの売り込み攻勢が激化するであろう。

(2)IPアドレス枯渇問題をじわじわ延命
2011年には、インターネット上の住所を示すIPアドレスの新規割り当て分が枯渇するとされており、2010年はどう対策を行うかの正念場の年と言える。最も合理的な対策は次世代プロトコルであるIPv6への移行であるが、公的資金の投入でもない限り一斉移行は難しい。よって、既報のとおり廃棄済みIPアドレスの回収再利用や、クラスAやクラスBを保有する先達企業のクラスCへの自主的格下げによる割譲、さらにはエンタープライズNATなどの利用によりじわじわ延命されると予想される。

(3)複雑化するセキュリティをトータルケアする企業が活躍
かつてはウィルス対策だけを行っていればよかったエンタープラズ・セキュリティは、コンプライアンスや内部統制の確保、情報漏えい防止などのミッションと結びつき、複雑化の一途を辿っている。2009年にはウィルスのすさまじい増加により、従来のパターンファイル配布法が限界に達したことがアナウンスされ、企業のIT担当者にとっては「セキュリティ一式」を調達したいのが本音である。よって、従来のウィルス対策企業に加えてソリューションベンダーや保険会社などが、この市場に参入し、これまでの個別対策からリスク移転による金銭的手当までを含めたトータルサポートサービスが活況を呈する。

(4)クラウドは健在
上記(1)~(3)を、従来型自社サーバで運用するか、プライベートクラウド上で実装するか、インターネット経由のパブリッククラウドからサービスだけを受け取るかを検討しなければならない。よってクラウドブームは2010年も継続する。
クラウド利用には大なり小なり、馴染んでいるアプリケーションのSaaS/PaaS/DaaS化を行わねばならず、プラットフォームを丸ごとクラウド上に預けて仮想環境を構築するか、タームとしては廃れたとはいえ今でも有効なBPRを行って、新規サービスを立ち上げるか、検討課題は多い。

経営戦略的な部分でのシステム投資は一定予算額を確保しなければならないため、企業予算総枠における、システム運用経費はさらなる圧縮を迫られる中、ベストプラクティスをどう提供していくかが、各ベンダー営業SEの力量がますます問われることになるだろう。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)