writer : techinsight

【名盤クロニクル】大貫妙子「MIGNONNE」

(画像提供:Amazon.co.jp)

(ジャンル:J-POP)
J-POPは、90年代末に極端に洋楽(R&Bやコンテンポラリージャズなど)に接近して、高度な音楽を披露するアーティストを輩出したのち、現在は、”いきものがかり”や平原綾香に代表されるような、昭和ポップ歌謡への回帰に向かっているようである。
そこで、今から30年前の1970年代後半に、同じようなテイストを持った音楽が多く登場した中で、ぜひ再評価したい作品が、大貫妙子の「MIGNONNE」である。

一聴して驚くのは、およそ日本人離れした跳躍音程の多いメロディである。朗々と歌い上げるのが基本のJ-POPに反旗を翻すような不思議なメロディが、絶妙のポップさを持って歌われる。

3曲目の「黄昏れ」のメロディなどは、どちらかといえばヌーヴェルシャンソンに近い世界である。
バックを固めるミュージシャンも凄い。
林 立夫(ds)、田中 清(ds)、高橋ユキヒロ(ds)、村上 秀一(ds)、渡嘉敷祐一(ds)、後藤 次利(b)、高水 健司(b)、細野 晴臣(b)、鈴木 茂(g)、水谷 公生(g)、松木 恒秀(g)、杉本喜代志(g)、松原 正樹(g)、高中 正義(g)、吉川 忠英(a-g)、渋井 博(key)、市川 秀男(key)、坂本龍一(key)、ペッカー橋田(per)、浜口 茂外也(per)といった面々で、文句の付けようがない演奏だ。

惜しいのは、リマスター処理がほとんどされていないので、音質が平坦で70年代特有の古くささが目立つことだ。2009年にリマスターされたビートルズのアルバムが、まるで60年代を感じさせないのと同様、この大貫妙子のアルバムもリマスターによって、リリースから30年後である今の雰囲気にぴったりの音楽に生まれ変わるはずである。

もし、今、”いきものがかり”や”平原綾香”が好きな中高生がいたら、ぜひこの大貫妙子のMIGNONNEを聴いて
みて欲しい。共感できるところが多々あるはずである。

(収録曲)

1. じゃじゃ馬娘
2. 横顔
3. 黄昏れ
4. 空をとべたら
5. 風のオルガン
6. 言いだせなくて
7. 4:00A.M.
8. 突然の贈りもの
9. 海と少年
10. あこがれ
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)