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2009年から5年間にわたるユーザーインタフェース技術の進展を予測した「ITロードマップ」を発表 NRI

株式会社野村総合研究所(NRI)は、2014年度までのユーザーインタフェース技術の進展とそのインパクトを予測した「ITロードマップ」をとりまとめた。
もう20年に渡って、入力インタフェースはマウスとキーボード、出力インタフェースはモニタという制約の中で、いかにして効率的な「機械との対話」を実現するかを追求してきたIT業界は、NRIの予測によれば2009年を黎明期として、今後5年間で大きく変化するという。

2008年頃からインタフェース多様化の予兆は起きていた。iPhoneの発売によるタッチインタフェースを採用したスマートフォンの普及、2009年に発売されたWindows7のマルチタッチスクリーンやタッチパッド操作の高度化、そして各種ゲーム機のネット対応などが挙げられよう。

NRIによれば、現在、ユーザーインタフェース技術には2つの変化が起きている。1つはWebアプリケーションの機能や性能が、OSに直接インストールして利用するアプリケーションソフトと同レベルに向上していく変化である。もう1つは、人にとって自然なユーザーインタフェースの実現が進んでいるという変化である。

今後、ユーザーインタフェースは、人にとって、より自然なものになっていくと予想している。具体的には、音声認識やモーションセンサーのように機械が人の動きを理解する技術、さらに、現実世界で得られる五感を仮想的に再現する触覚インタフェースや嗅覚インタフェースなどの技術が台頭することが予測される。

これらの技術は、現実世界と変わらない言葉や動作(指差しや目配せなど)でITを利用することを可能とし、その過程で、現実世界と同じような感覚(洋服の肌触りやコーヒー豆の香りなど)を得られるようになると予測される。

各種サービスのWeb化については、SaaS/PaaSを前提としたクラウドコンピューティングの隆盛がすでに予測はされているものの、マイクロソフトの提唱するSoftware and Serviceのように自社保有と他社提供の技術を柔軟に組み合わせて使うものや、アドビが中心となって推進しているRIAを用いたクライアントサイドへの重心移動などの動きもあり、商業レベルでの実装がどのように発展するかは、今後の動向を注視する必要があろう。

また、インタフェースの多様化と平行してセキュリティ技術の対応が必須であるが、ネット犯罪の巧妙化への対処と併せて、研究していく必要があるだろう。

NRIは、ユーザーインタフェース技術を始めとしたエクスペリエンス・テクノロジーに加え、これから注目すべき情報技術の進展をまとめた単行本「ITロードマップ2010年版~情報通信技術は5年後こう変わる!~」を、2009年12月中旬に東洋経済新報社から発売する予定となっている。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)