writer : techinsight

音源の残響成分を分析して臨場感あるサラウンド再生を可能にする技術「Revtrina」を開発 NTT

DVD普及期には、DVD-Audioという次世代音楽規格が提唱されたが、ごく一部の作品がリリースされただけで、普及することはなかった。音楽は依然として2チャンネルのまま様々な高音質CDが発売されたが、その都度買い直しさせられているファンもそろそろ呆れてきたところである。
しかし、2チャンネルのCDの音源のままで、ホール残響に近いサラウンド再生を可能にする技術「Revtrina」をNTTが開発したことによって、オーディオの世界に新たな1ページが開かれるかもしれない。

NTTは、音楽CDなどに収録されている音の特徴を分析して、そこから残響成分を分離し自在に制御する基盤技術を開発し、これにより音楽ホールなどの響きを高精度に再現するサラウンド再生を可能とした。

また、この基盤技術をもとに、エヌ・ティ・ティ ラーニングシステムズ株式会社、既存の2chステレオ再生用の音楽ソースから、5.1chサラウンド再生用の音楽ソースを容易にかつ高品質に制作することができるソフトウェア「NML RevCon-RS」を開発した。

NTTLSでは「NML RevCon-RS」を11月18日(水)~20日(金)に幕張メッセで行われる国際放送機器展(Inter BEE(※5) 2009)にて参考出品する

なお、 Revtrinaという名前は、収録音に含まれる残響成分 (reverberation) と直接音成分に対して、分離、低減、強調の3種類(tri)の操作を可能にする残響制御技術であることを意味しているとのことだ。

普及型のAVアンプに実装できるようにすれば、ライブアルバムなどはホール音響に限りなく近い音質で再生を可能にすることであろう。

近年の音源リマスター技術の進歩は著しい。今年2009年にリマスター発売されたビートルズのオフィシャルアルバムを聴けばわかるとおり、60年代特有の音の平板さがなくなり、まるで80年代のロックアルバムのような音響で響いてくる。こうした技術に、「Revtrina」のような残響制御の技術が加われば、もはや過去も現在も突き抜けた新たな音楽世界が開けてくる可能性があるだろう。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)