writer : techinsight

【ドラマの女王】テイストは韓流ドラマ?主婦の欲望を満足させる昼ドラ。『Xmasの奇跡』。

今回の【ドラマの女王】は、昼ドラ、高橋かおり主演『Xmasの奇蹟』。交通事故で死亡した40歳代の恋人の魂が、若い別の男性の身体に宿るという“奇蹟”を描いた仰天ストーリー。韓流スター、パク・ヨンハをそのままパク・ヨンハの役で特別出演させて、世の奥様方に媚を売るお昼の帯ドラマ。その実態は、大映ドラマ風、または韓流ドラマ風とでも言おうか。とても激しく、分かりやすく、大げさ。清純かつ魔性な主人公を演じるのはあのナツカシ子役女優・高橋かおり。いつの間にかすっかり大人の女性になっている。

大手レコード会社の宣伝部で働く手島直(高橋かおり)は、ナゾの天才ピアニストXeno(ゼノ)である、音楽ディレクターの堤浩志(岡田浩暉)と出会い恋に落ちる。浩志と共に新しいレコード会社を立ち上げ、ゼノのアルバム「青の月」を発売。コンサートが成功したら結婚しようと約束した浩志が、コンサート会場に向かう途中、交通事故に遭い意識不明になり、その後かえらぬ人となる。

悲しむ直が知らぬ間に、死んだ浩志の魂が、同じ病院でやはり意識不明だった林田健(窪田正孝)という20歳の青年の身体に宿ってしまう。それを他の人に知られると“自分が消える”ことを知った健は、周囲には記憶喪失と偽り、バー「ノクターン」でバイトしながら直の様子を伺うようになる。健を演じる浩志の心は直を求め苦しみ、直も健に浩志を重ねるが・・・・。

「愛」とは肉体に宿るのか、それとも心に宿るのか・・・人間の生死を超えた決して成就することのない「愛」・・・。はたして二人の「愛」に奇蹟は起こるのか?

一見ややこしいが、子供でも分かる単純なドラマ。なんとなく大林宣彦監督の「転校生」(男女ではないが)風な入れ替わりならぬ“魂乗り移り”のストーリーだ。クリスマスやピアニストといった定番のワードと、『Xmasの奇蹟』って題名も80年代っぽい。その、ノスタルジックな雰囲気を盛り上げているのは、映画「プルシアンブルーの肖像」(玉置浩二初出演)で主演していた子役少女・高橋かおりの存在。彼女は現在34歳。3M(宮沢りえ、牧瀬里穂、観月ありさ)と同時期に活躍していたが、名前にMが無かったから3Mには入れなかった?女優でもある。今回はしっとりとした大人の女性を好演している。

苦悩する美少年・健を演じる窪田正孝が魅力的。また、80年代大映ドラマの傑作「スチュワーデス物語」に出演していた白石まるみが、バーのママ・ミツコ役で出演している。

このドラマのポイントは40男の魂が“20代のイケメン”に宿るという所。これぞ退屈な日常に飽き飽きした主婦の願望。おばさま達が韓流スターに走るのも、シングルマザーが年下の男と再婚したがるのも、みんな近年主流になっているこの年下願望のおかげだ。「くたびれたウチのダンナが若い男になったらどんな楽しいかしら。」から、「もう一度恋がしたい!」など、主婦は限りなく貪欲なのである。

すごく綺麗に「愛」でまとめてあるけど、むき出しの女の性(さが)が見えるドラマ。
だから昼にやるのだろう。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)