昨年12月、国民党立法委員の邱毅議員が、台南扁友会長（陳水扁前総統の後援会長）である黄永田氏にかつらをもぎ取られるという騒動が起きた。
周囲は薄々気付いていたことだが、本人は頑なに地毛だと言い張っていただけに、邱議員にとってはイタすぎる出来事となってしまった。そんな傷心の邱議員に追い討ちをかけるように、その瞬間を捉えた写真が、なんとこの度、ニュース写真賞を受賞してしまったのだ。

受賞作品は、かつらをもぎ取られ、手で頭を抱えて慌てふためく邱議員と、かつらをもぎ取り得意気な黄氏の決定的瞬間を捉えている。なんということか。被害者の狼狽する様子は見るに忍びない。

さらに騒動後、黄氏は間髪入れず、この写真を名刺にして配るという荒技もやってのけた。なんとも容赦ない。
自身がもっとも気にしているであろう薄毛を隠すためのかつら。それを大衆の面前でもぎ取られてしまった邱議員。”逆立つ毛がない”議員だが、「怒髪、天を衝く」。当時は裁判沙汰にまでなった。

騒動から既に一年近くが経ち、周囲の記憶も薄れかけていたところへ受賞のニュース。
邱議員はさぞかし苦い思いをしていることだろう。しかし、歳月が議員の傷を多少は癒してくれたようだ。
写真を見る度に心が痛むという邱議員だが、メディアに対し「モザイク処理はできないか」、「“自分を燃やして他人を照らす”だよ」などと冗談を言う余裕を見せた。
（TechinsightJapan編集部 片倉愛）