今回の【ドラマの女王】は、渡部篤郎主演『外事警察』(NHK総合)。怖~い前妻と別れて晴れて前からウワサのある、女優N(他局のドラマで花魁役。)と再婚するかと思いきや、あっちこっちで共演女優と浮名を流すコンニャク男・渡部篤郎。相変わらずぼそぼそと話すカツゼツの悪さも健在。さらに今回挑むスリリングなスパイドラマは木曜の『ROMES/空港防御システム』同様、ムダにスケールがでかい上映画界で注目の人材を“雑”に使っているようなのだが。
「スパイ天国」と称される日本で、外事警察(「ソトゴト」)と呼ばれる公安警察の特殊任務を追った複雑なストーリー『外事警察』。ジャーナリストで作家の麻生幾による小説を原案としてドラマ化された。
外事警察は、主に外国人の犯罪組織の解明や国際テロを未然に防ぐ公安の刑事みたいな働きをしている。が、決して世の中に知られることなく活動しているため「刑事」ではないという。渡部篤郎演じる主人公の住本健司は、時として任務のためには手段を選ばない男。彼ら外事警察とテロリストとの壮絶な情報戦争・騙し合いを描く。
ま、難しいからそれはどーでもいいのだが、国際テロから兵器の情報提供まで諸外国の危険な取引きが出てくるので、住本たちが捕まえるターゲットは大体外人。彼らは外交官だったり、不法就労者だったり、出稼ぎバーテンダーだったりする。みんな不自然なほど日本語がペラペラ。演技はヘタなのに言葉は流暢、そしてみんなドラマやCMで見たことある顔ばかり。タイトルにはやはり稲川素子事務所の名前が。
第3話にして見せ場だった石田ゆり子は、40歳になってもキレイなので今回はお色気担当。外人バーに潜入させる為に雇われた主婦のスパイ・下村愛子を演じている。その愛子が捜査対象の外人の男を誘惑し、データを盗み出す。酔った男にキスされ押し倒されるというNHKにしてはめずらしくエロい展開に発展。その一部始終を近くに止めたスパイご用達車の中で住本や、若い女の外事・松沢(尾野真千子)、運転手(山本浩司)なんかに聞かれているという、アーノルド・シュワルツェネッガー『トゥルーライズ』みたいな状況に。
石田の「やめて!」とか「アン」とか色っぽい声に一同興奮。上手いこと切り抜けて?データを住本に渡し、「あなたと一緒にしないで!!」と叫ぶ愛子。ああ、スリリング!
『萌の朱雀』の尾野真千子、『童貞放浪記』の山本浩司、『悪夢のエレベーター』監督の堀部圭亮、『蘇りの血』の渋川清彦、『北京原人』の片岡礼子まで、映画界注目の役者を使いながらその配役が雑。
住本の妻・絵美の奥貫薫や、松沢に裏切りを囁く上司・倉田の遠藤憲一、女性議員の余貴美子なども出番が少なくてもったいない。しばらく見ないうちに別人の様に太りきった石橋凌だけは別の意味で見ごたえがある。
『外事警察』なんて視聴率が振るわなそうな暗い題材を、スケール大に描けるのはNHKならでは。ちょっとナルシスト的な映画的演出もWOWOWのドラマみたいで実はイタイ。もう少し出演者を整理してスッキリした方が見やすいし、”ご予算抑え目”にできるのではないか。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)