writer : techinsight

芸術の秋、気軽に足を運んでみよう「小劇場公演」。

読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋、暑さが失せてようやく体力と能の働きが回復し、さまざまな事柄に興味が出てくる季節。ついオシャレしてどこかへお出かけしたくなる。ショッピングや街の散策もいいけれど、忘れてはならない芸術の秋にぴったりな演劇の公演がたくさん催されている。今回は、今注目の若手クリエーターが送る、気軽に足が運べる小劇場の公演をいくつかご紹介。

まずは、大人気の五反田団、久しぶりの大劇場での公演『生きてるものはいないのか』『生きてるものか』をダブル上演。から。
独創的な表現力で評価の高い作家・劇作家の前田司郎。彼の主催する五反田団がこの度、東京芸術劇場(池袋)で10月17日(土)~11月1日(日) の間、代表作『生きてるものはいないのか』『生きてるものか』をダブル上演する。

2009年、小説『夏の水の半魚人』で三島由紀夫賞受賞した前田司郎。大掛かりな装置や舞台セットをあまり使わず、シンプルでリアルな表現を追及した舞台は、同世代から次世代の若者を中心に支持が高い。今回のA=『生きてるものはいないのか』とB=『生きてるものか』は、二つとも前田作ではあるが、内容も出演者も違う公演。日にちや時間によってAとBに分かれている。(前田出演はBのみ。)かなり年数を重ねた劇団であるにも関わらず、前売り券を購入すれば“両方見ても”5000円という安さも魅力だ。

変わって、江本純子が主宰する「毛皮族」の『社会派すけべい』(作・演出:江本純子)。何ともヒワイなタイトルがついたこの新作は、愛人の利権を巡って争覇する女達の心理戦争を、江本が女性ならではの視点で描く。膨大なセリフで表現するシニカルで不処理なストーリーの中にも、芸達者な役者たちの軽妙な演技でクスリと笑いを誘う、「毛皮族」おなじみのユーモラスな一面も期待できる舞台だ。江本ほか、町田マリー 柿丸美智恵 羽鳥名美子 高野ゆらこ 武田裕子 延増静美 平野由紀 高田郁恵 金子清文という、華やかな出演者たちにも注目。日程:2009年11月19日(木)~12月1日(火)※全17回公演。会場は下北沢 駅前劇場。

最後は、記者が今もっとも注目する女優・内田慈主演の岡崎藝術座『ヘアカットさん』(こまばアゴラ劇場)10月16日(金)~10月25日(日)。弱冠27歳の演出家・神里雄大が送る若者の日常を描いた作品。通常公演に加えて、仰天の「朝9時」からの同時上演『朝焼けサンセット』(朝食付)がある。聴覚障害者向け台本貸出サービス(耳の不自由な方のために、事前に上演台本をデータ(WORD)を送るサービス)や、予約制の託児サービス(日にち指定)もあり、障害者や子育て中の女性にも観劇しやすい工夫が凝らしてある。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)