下水溝にすっぽりはまってしまい身動きがとれなくなってしまった象。救出に要した時間は3時間。そもそもなぜ象は一般の道路を歩いていたのだろうか。
8日深夜、象が下水溝にはまってしまったので助けて欲しいという連絡が、ラヨーン郡の警察に入った。
そこで警察が現場に駆けつけてみると、確かに下水溝にはまってしまっている象の姿があった。象は、頭と前足だけが出た状態で、頭からは出血が確認された。はまっている後ろ足や体が痛いのか、象は涙を流しながら泣き声をあげていたという。
この象は7歳のオスで、名を“ナームプ”という。体重は800キロほど。先月スリン県(象で有名な県)からこの町に連れてこられ、それ以来日々、象使いに連れられて町を歩いている。象使いは象を引き連れて、「象にえさを与えませんかー」と触れながら、えさを売って歩くのである。
事故にあった8日の夜も、いつもと同様、商売のために象と象使いは町を歩いていた。その際、ナームプは誤って下水溝にはまってしまったのである。そのときの音と、ナームプの泣き声は相当なもので、近所の人たちは何事かとすぐに集まってきたという。
ナームプの救出には3時間を要した。ショベルカーなどを使って、下水溝周辺のコンクリート道路をたたき割って、なんとか救出することができたのである。救出作業の間、ナームプは相当の痛みだったのか、終始泣いていたという。ただし、ナームプのけがは軽く、命に別状はないとのことである。
県によると、象を使用した販売行為は、事実上禁止されている。しかし、県としてはこれまで、象使いの生活面を配慮して、なかなか厳格に対処することができなかったのである。だが、今回のケースを受けて、今後はこうした商売を厳しく取り締まる方針であるという。
タイ人にとって象は身近で、かつ最も愛すべき動物である。その象を利用したこうした商売は、象がかわいそうだという観点からたびたび批判されてきた。今回のケースによって、今後ますますこの商売への風当たりは強くなりそうである。
(TechinsightJapan編集部 若曽根了太)