writer : techinsight

菊正宗酒造がケータイ位置ゲーと連動?

菊正宗酒造と、位置ゲー。接点が全く無さそうな二者がコラボした。その目的は、若者に日本酒の魅力をアピールすることだ。


株式会社コロプラ菊正宗酒造株式会社は、コロプラが運営する携帯位置情報ゲーム「コロニーな生活☆PLUS」と連動した販売促進サービスを開始した。携帯ゲーム「コロプラ」を利用して菊正宗酒造記念館への来館を促進する。

菊正宗は1659年に創業し、日本を代表する酒造会社だ。灘五郷の一つ御影郷に本拠を構え、辛口のパイオニアとして今年で創業350周年を迎える。日本でも数少ない手間暇をかけた「きもと造り」を上撰・本醸造酒にも採用するなど、伝統的な酒造りを守り、「本物の辛口」を提供し続けている。

そうした菊正宗の受け継がれる伝統を紹介するのが菊正宗酒造記念館だ。創業当時の酒蔵を1960年に移築し、酒造記念館として一般公開したのが始まりで、阪神大震災後の1999年に復興オープンした。年間およそ7万人の来館者が訪れている。

菊正宗は、これまで自社記念館での展示やインターネットによる情報提供などを通じて、菊正宗の伝統的な酒造りや日本酒の魅力について伝えてきた。そこに注目したのが、携帯電話のGPSや基地局による位置情報を活用した位置連動型の携帯ゲーム(=通称:位置ゲー)のパイオニアである「コロプラ」だ。菊正宗が守り伝える「きもと造り」が少しでも多くの日本人に伝えるべき日本の伝統文化であると考え、実際に現地を訪れて取得できるお土産カード「コロカ」の導入を提案した。

「コロプラ」は、全国で35万人以上のユーザーがいるが、ゲーム内で「移動」が大きな要因となるため、その8割が20代から40代の社会人である。「コロプラ」ではゲーム内アイテムと連動したお土産カード「コロカ」を使った来店・販売促進サービスを今年6月から進めており、栃木・日光の老舗煎餅店「石田屋」や佐賀の有田焼の窯元「しん窯(がま)」をはじめとした全国12店舗で「コロカ」が導入されている。遠方からはるばる来店するユーザーがいたり、行列ができるようになった店があるなど、大きな実績を出しているという。

今回のサービス開始にあたり、ゲーム内ではスポンサーバーチャルお土産「灘・菊正宗の特醸・雅(みやび)」が提供され、菊正宗記念館内の売店では、ユーザーの購入金額に応じて特醸・雅をデザインした3種類の特製コロカが配布される。ユーザーは実際に菊正宗酒造記念館を訪れ、所定金額の買い物をし、菊正宗専用の「コロカ」を受け取る必要があることから、ゲーム内特別アイテムというバーチャルが「コロカ」や人の移動というリアルと上手く連動する仕組みになっており、ユーザーの来館・購入の促進につながることが見込まれている。

菊正宗の嘉納社長は、「コロプラとの提携により、若い世代が菊正宗酒造記念館を訪れ、当社が誇る『きもと造り』について理解を深め、若い世代の日本酒ファンが増えてくれることを期待している」と話している。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)