writer : techinsight

かゆいところに手が届く業務システムをユーザーがSaaS上で構築できる「MOMONGA」

企業における1990年代以降のIT化の流れを見てきたユーザーの感想としては「隔靴掻痒」という言葉がふさわしいのではないだろうか。

確かにITによって便利になった仕事もある反面、余計な仕事が増えたり、日常の細々した業務が旧態依然としていたりすることも多い。
もっとかゆいところに手が届き、コストがかからないIT活用はないだろうか。
今回紹介するのは、その理想に近づいた「かゆいところに手が届く」業務システムを手軽に構築できるSaaS型サービス「MOMONGA」である。

たとえば、「経費使用承認申請」という広く社員が処理する業務がある。

従来のIT化の手法では、ワークフローシステムを導入して、データベースと承認ルールを定義していく。しかし、その承認ルールはワークフローシステムの標準機能では網羅できるものではない。

1万円未満は部門の課長承認、1万円以上5万円未満は部門の課長承認のあとで経理課長承認、そして5万円以上は経理課長経由で部長承認などというルールを、ワークフローシステムで細かく作り込もうと思ったら、カスタマイズのための経費が相当かかってしまう。

これに、課長不在時の主任代行承認であるとか、経理課長不在時の総務課長承認といった例外処理も加わわるとなれば、結局、紙伝票で決裁持ち回りが一番早いという本末転倒が起きがちだ。

こういった複雑な承認ルールのフローを、「MOMONGA」ならエンドユーザーが簡単に作れるのだ。作り方は、パーツを配置して、データベースの属性を定義していくだけだ。

データベースの属性といっても、日付なら「日付項目」、金額なら「数値属性」と、直感的な用語で定義できるので安心だ。

企業によっては、こうした承認フローをエクセルで作っているところもある。しかし、エクセルシートの順送り作業では、バージョン管理ができなかったり、保守性が悪かったりといったデメリットが目立つ。

「MOMONGA」を利用すれば、ほとんど経費をかけずに、みんなが使えるきめ細かなシステムの開発が可能になる。

90年代からITに携わってきているユーザーは、かつてのキーワードである「BPR(ビジネスプロセス再設計)」「ERP(統合業務パッケージ)」「EUC(エンド・ユーザー・コンピューティング)」といった用語の、期待と実態の落差に失望した結果、近年のキーワードである、「SaaS」や「クラウド」といった用語にも懐疑的な人が多い。

しかし、これらはもとをただせば「データセンター」という、ある意味で伝統ある技術の復権にほかならない。
あとはいかに現場の要求をタイムリーにシステムに反映させるかである。

「MOMONGA」は、現場の要求をいかに速やかに実現するかということに力点を置いて開発されており、「どのようなことができるか」についても、ユーザーの意向が大きく反映する。

「MOMONGA」の提供はインターネットを利用するSaaSタイプとして年内は無料で提供し、その後、機能を拡張した有料版のサービスを予定しているとのことなので、まずは無料版で「自社のシステム化されていない業務」のシステム化をテストしてみるとよいだろう。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)