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ニュージーランドの人々は、オーストラリアに行くことを「タスマン海を渡る(Cross Tasman)と表現するらしい。そう、タスマン海は両国を隔てる海である。7月15日、タスマン海、ニュージーランド付近でマグニチュード7.8の大地震が起こったが、その地震の影響で、ニュージーランドとオーストラリアの距離が30センチ縮まっていたことがわかった。
といっても、ニュージーランドとオーストラリアの距離は2250キロ。それが僅か30センチ縮まったとしても誰も気づかないはずだし、それによって航空運賃が下がるなど、一般生活者にとってのメリットが生まれる見込みもなさそうだ。
ニュージーランド地質・核科学研究所(GNS)の地震科学者ケン・グレッドヒル(Ken Gledhill)氏によれば、ニュージーランド南島の西海岸は、オーストラリアに向かって30センチ移動したという。一方、東海岸はというと、同方向に1センチしか動いていない。つまり、ニュージーランドが西に29センチふくらんだぶん、オーストラリアに近づいたのだともいえる。
海抜が低く、海面上昇に対してきわめて脆弱であるといわれるツバルはとりわけ象徴的だが、今日のわれわれは地球温暖化に伴う海水面の上昇、海岸線の侵食を示顕する事象に敏感になり、漠然とであるにせよ脅える日々のなかにいる。
そのせいか、ニュージーランドが一夜にして29センチ拡がったというこのトピックをも、侵食され続ける陸地の虚しい抵抗といった文脈で捉えてしまい、どことなく物哀しさを覚えるのは、これも現代人の病の一つであるといえようか。
(TechinsightJapan編集部 田中箇)