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【ドラマの女王】 アラサー妻、「婚活」女子に水を差す“耳の痛い”「嫁姑問題」。『となりの芝生』

今回の【ドラマの女王】は瀬戸朝香、泉ピン子主演、橋田壽賀子原作の『となりの芝生』(TBS系)。このドラマのオリジナルが放送されてから、30数年経ち、時代と役者は大きく変わっても「嫁の役割」だけはそう変わらない平成ニッポン。マイホームを手にしたのん気なアラサー妻や、はやりの「婚活」に浮かれる女子たちに水を差すように耳が痛い「嫁姑問題」。同居で失敗する前に見ておけば勉強になるかも。

かつてNHKで山本陽子が TBS系「愛の劇場」では長山藍子が演じた主人公・高平知子役を現代的な瀬戸朝香が演じる。歴代『となりの芝生』のキャストの沢村貞子は別として、赤木春恵 、前田吟、東てる美など、その後の『渡る世間は鬼ばかり』の基盤になっているキャストが多い。こんなに長く人気が続くなんて橋田壽賀子センセイ恐るべし。

30数年経って、時代と役者は大きく変わっても「嫁の役割」だけはそう変わらない平成ニッポン。家を新築したアラサー夫婦高平家に、夫・要(大倉孝二)の母・志乃(泉ピン子)がやってくる。どうやら要の兄と兄嫁と何かあったらしく、やさしい次男の要の家での暮らしを始めたい様子。ひともんちゃくあって何とか一緒に住む事になった。

志乃の勝手な振る舞いに振り回される知子と、お茶を教える志乃のために“コキ使われる”母に納得がいかない子どもたち。そしてなぜか母の肩ばかり持つ夫。今まで考えもしなかった他者(志乃)の同居は息がつまり、若いアラサー主婦の知子にしてみれば耐え難い苦痛だ。しかし一方では知子の不満や葛藤を描きながら、世代の違う義理の母の目を通して、「夢のマイホームを手に入れた核家族」の安っぽさを浮き彫りにする。

妻の手料理に飽きた夫には、母のつくるミソ田楽や煮物などがたまらなく懐かしい。それが食卓に並べばいくら嫁はかわいくても嬉しさを隠せない。母からの生活費の援助を男の意地でことわる夫。ドラマで客観的に見せられれば「男の心理」もすこしは理解できる。昔はこういった家庭ドラマがたくさんあったような気がするが、最近はあまりないので「夫を立てる」「姑をいたわる」といった基本的なヨメ・レクチャーが学べなかった。“お嫁さん”ってなにか割が合わないような気がするが、日本に暮らす女性である以上こうした現状を知っておくのも大事な事かもしれない。

これから結婚を企てる“婚活女子”や、今後同居の心配のある“アラサー嫁”には、とても参考になるドラマかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)