writer : techinsight

【ドラマの女王】こうして“ヘンテコ小説”って生まれちゃうのね。『ダンディ・ダディ?〜恋愛小説家・伊崎龍之介〜』

今回の【ドラマの女王】は、『ダンディ・ダディ?〜恋愛小説家・伊崎龍之介〜』(テレビ朝日系・舘ひろし、南沢奈央主演)。娘と彼氏の動向を心配する父でありながら、ヒット作連発の「恋愛の神様」カリスマ小説家・伊崎龍之介(舘ひろし)のコミカルな日常を追ったドラマである。他愛の無い父娘ドラマに、少々拍子抜けしてしまうが木曜9時の「箸休め」として見るにはちょうどいい。そこで、舘ひろし演じる伊崎龍之介を“ある大小説家先生”になぞらえてみよう。

伊崎龍之介(舘ひろし)は、自らのさまざまなな恋愛経験を元にスイートな恋愛論を講じ、テレビや雑誌に頻繁に登場する流行作家である。しかしそれは表面上の話で、華麗なる女性遍歴は今や過去のもの。目下年頃の娘・あかり(南沢奈央)の“貞操の保全”ばかりが気になる、世間一般のおやじよりも頭の固いおっさんだ。

しかし、そんな事は知らない世間の人たちは伊崎の言葉にだまされ、伊崎の書く小説に感動し、伊崎を「恋愛の神様」とカリスマ視する。そんな伊崎の口先だけの恋愛論や小説に素直に感動した少年・小早川悠樹(石黒英雄)は、伊崎の騒動を手伝い、それが縁であかりと付き合う事になった。イケメンで性格も良い小早川君となかなかデートに行けないあかりちゃん。困っていると、伊崎の家に原稿を取りに来る新米編集者の後藤美羽(平山あや)が手引きをし、二人は水族館でデートする事に。

流行作家(漫画家もアリ)が主人公のドラマというのはよくあるのだが、そこに絡んでくるのは濃いキャラクターの編集長とその間を取り持つ編集者。実際のやり取りを見た事が無くてもなんとなくその関係性が分かる。今回伊崎の旧知の仲という女編集長・三嶋貴和子(余貴美子)と、お調子者のベテラン編集者・堂島寛(八嶋智人)、そして、新米女性編集者・後藤美羽(平山あや)が登場する。三人とも伊崎家に出入りし、龍之介・あかり親子と深い繋がりをもつ。

あかりと小早川のデートを尾行し、その情報をちくいち伊崎に報告する堂島。それもこれも伊崎にいい小説を書いてもらいたい為。(伊崎はただ娘が心配なだけ。)今時あまりに純情なデートをするあかりたちに業を煮やして、よそのカップルにキス疑惑写真(足と手だけ)を撮らせてもらい、伊崎に送りつける。それを見て怒った伊崎は娘のデートをぶち壊しに・・・・。

古臭いドラマなんであるが、八嶋智人演じる編集者の「作家に書かせるゾ魂!」は妙にリアル。常に作家の気持ちに寄り添って、いいものを書いてもらいたいが為にいろいろ作家の為に尽力し、作家がその気になればグイグイ持ち上げる。「そろそろ若者たちの恋愛が書きたい。」と伊崎が言えば、「それは先生スバラシイ!」と心から持ち上げ、先の“ムダな頑張り”に走ったりするのである。

ドラマの伊崎龍之介に人気作家の渡辺○一先生を重ね合わせてみる。
こんな感じで、『鈍○力』とか、『愛の○刑地』とか、出来てしまったのだろうか?と記者は思う。そして、「こんな鈍○な生き方もいいかも!」と単純に納得してくれる読者や、「今時の主婦は中年男とエロに明け暮れて心中してくれるんだ!」と解釈してくれる都合のいいお客によってこれらの本はベストセラー化した模様。他愛の無い父娘ドラマからとんでもないリアルな”出版界の現実”を目の当たりにした記者だった。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)