writer : techinsight

【親方日の丸な人々】コレを言われるとお役人は困る

過日、某自治体の助成金削減に関わる公聴会を傍聴した。

通常、こうした公聴会は、行政受益者の心情吐露だったり、時として怒号であったりするが、お役所は市民のこうした憤懣に対する処し方については、十分すぎるほどマニュアルを持っている。
しかし、行政側が答弁に困り果てる局面もあり、なかなか立派な意見陳述であると感心したので、今回はその話を紹介したい。

詳述すると長くなるので、要点だけをまとめて「コレを言われたらお役人は困る」という例は次のとおりである。

○予算が足りないというが、「事業会計を含めた全予算」に占める本件予算の割合は如何

お役人が「厳しい財政事情」を理由にして、予算削減を提案する場合、通常は「一般会計における予算の逼迫」を理由としているが、お役所の予算はそれだけではない、事業会計というものが別途存在する。
お役所の持っているカネを総ざらえしてパーセンテージを出したら、助成金など非常に少ない数値になる。
もちろん、会計独立の原則により、それぞれ別に予算措置及び決算が行われるので、お役所の言うことにも理があるのだが、なぜわずかな助成金を予算の適正執行でカバーできないかと問えば、効果的である。

○行政当局は財政当局に対してどう闘ったのか、基本姿勢如何

各種行政を行なっている部局(部や課など)にとって、行政サービスの低下を市民に求めることは本意ではない。それにもかかわらず無情なことを言ってくる背景には、財政当局(国であれば財務省、自治体であれば財政課など)の強い意向が働いている。

予算要求は大なり小なり「戦闘」である。その戦闘の内情を聞き質せば、ホンネとタテマエの狭間で答弁に苦慮する様子、あるいは得意になって戦闘態勢を話す様子が見られる。

○「目指す」「考える」にごまかされない。

行政のよく使う言い回しで「○○のサービス拡充を目指していきたいと考える」といったものがあるが、これを前向きな姿勢であると評価してはいけない。「目指す」という用語は「無視はしない」という程度のことで、実際には何もしないことを意味する。しかも「考える」という用語は文字どおり「考えているだけ」である。
「目指す」という用語が出たら、具体的な検討のスケジュール、回答時期、方法について詳しく聞き質すべきである

こうしたお役人への対応を上手に行うには、お役所OBの知恵を借りるとよいだろう。

それなりに出世して退職した元役人は、お役所の忠実な代弁者であるが、中途半端にしか出世せずに、見栄えのしない天下りで細々と食べているような元役人は、役所に深いルサンチマンを抱いていることが多く、「お役所をやりこめる知恵」を求めたら、喜んで協力してくれるだろう。

(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)