writer : techinsight

話題のロックバンド“黒猫チェルシー”のスゴいライブ。

バンドメンバー全員が10代、結成したのが2007年(高一の春!)というみずみずしいロックバンド、黒猫チェルシー。可愛らしいバンド名同様、まだあどけなさの残るカワイイメンバーがゴテゴテの「ロック魂」を見せる。予測不可能なライブ・パフォーマンスが話題となり、高校卒業を機に上京。東京でも話題に。彼らの魅力はアラフォー世代にも伝わるか。生まれて始めてロック系ライブハウスに足を運んだアラフォー記者(齢40歳。)のライブリポートと共に、黒猫チェルシーの魅力に迫る。

6日の夜の吉祥寺。土曜日とあってスタンディング・バーROCK JOINT GBの入り口は沢山の若者で賑わっていた。今夜は何組かのバンドが演奏される。
記者は滅多にこういう場に足を運ぶことはない。あるバンドを見る目的で入場チケットを買い、GBに入る。入場前に薬局で”耳栓”を買っておいて良かった。暗い店内は数十人の若者たちが蠢き、耳をつんざくような音が響く。なぜか実験用白衣と、調理師の着るコック・コートを衣装にしたバンドが演奏し始めていた。飲み物を買い、ステージ前へ進む記者。タバコを床に捨てるマナーの悪い客に激怒する。みんな携帯灰皿くらい持ってよ!ここは室内だぞ。

2バンド目、女子サッカーの荒川選手みたいなボーカル女子と、年齢高めの男性ボーカル(ギター)、力強いドラムのバンド。注目すべきはさっきまで客席で踊りまくっていたベートーベンみたいなたネクタイ・メガネ君だ。彼は舞台上の動きもあやしく、その存在に目が離せなくなる。が、曲は普通。でもみんな楽しそうだ。

なんとなく、ライブの雰囲気に慣れて来た所で耳栓を外す。やっぱりやかまし過ぎてまた耳栓をする記者。記者にはこれで調度いい音量だけどみんな良く難聴にならないな・・・・。ドラムの刻むリズム音で心臓がドキドキする記者。「動悸・息切れ注意。」

そうこうしているウチに、とんでもないものが目に飛び込んできた。上半身ハダカに学ランを引っ掛けた少年が、バナナかじって登場。物凄い“集中力”を思わせる目で歌い始めた。ぎゅわわわーんと他を圧倒する吸引力で見る者の視線を集める彼らがどうも黒猫チェルシーらしい。いい年のアラフォー記者はこの子たちが見たくてわざわざこの場まで来たのだ。でも来て良かった。期待どおり、いやそれ以上に彼らは輝いている。
ボーカルの渡辺大知くんが、この夏『色即ぜねれいしょん』(8月公開)という映画で若かりし頃のみうらじゅん氏を演じる。で、最近すこし話題になっていて、記者も映画館のチラシで彼を知った。さすがに彼はなんか凄い。そのたたづまいはほのぼのながら(映画のイメージからかもしれないが。)荒れ狂う姿はまさにアーティストとして強い「伝える力」持っているような気がした。

こういうわかりやすい若者は大好きだ。渡辺にのしかかられても必死に演奏をつづけるギターの子と、こんな興奮状態の中でたんたんと演奏するベースの子もえらく魅力的。(まだ子どもだからか?そういうスタイルなのか。)いちばん普通なドラムの子を見て少し安心した記者。でもこの人たち全部10代、自分の息子でもいいぐらいの年だ。彼らのバンドパフォーマンスにかかると、オシャレなジョイント・バーGBも、たちまち汗臭い高校の教室や、実家の和室の部屋みたいに感じてしまう。

黒猫チェルシーの後に、実力派バンドとビジュアル系バンドが演奏しこの日のライブは楽しく終了。どのバンドのメンバーも演奏後に「凄くいい顔」をしている。お客さんも幸せそう。みんな音楽が好きなんだなあ。日本の若者に少々絶望していた記者もなんか嬉しくなった。しかし、この大音量は中年にやさしくない。
演奏が全部終了し、会場を後にしようとGBを出る記者に、後日ライブをやるという幾多のバンドの若者たちが必死で告知チラシや、自分たちの演奏を納めたCDを配ってくれたりする。「ごめんね、貰っても行けないから。」とこんなオバハンが断っても、「いいです貰ってください。」と手渡す彼らの目はキラキラ輝いている。こんな時代にも、夢はある。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)